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稚内層珪藻頁岩の特性とグラフの説明
稚内層珪藻頁岩とは

稚内層珪藻頁岩は、北海道天北地方で採掘され、珪藻(単細胞藻類プランクトン)が堆積してできた珪藻土が地質的変化を受けて出来たページ状岩石です。
電子顕微鏡で見ると、一般的な珪藻土はリング状の珪藻遺骸が見受けられますが、稚内層珪藻頁岩はリング状の部分は見受けられますが、珪藻が変質したと思われるマリモ状の微粒子が確認され、地質的変化を受けていることがわかります。
稚内層珪藻頁岩は珪藻土と比較して、このように珪藻土が熱的変成を受け硬岩石化しているために微細な細孔(表面にある穴)を持ち、酸や熱に強い大きな特徴を持っています。
稚内層珪藻頁岩の吸放湿率変化
相対湿度90%RHで24時間(h)吸湿率を測定し(吸湿過程)、相対湿度50%RHで24時間(h)放湿させる(放湿過程)方法で調湿機能を評価しました。この方法では吸湿過程で速やかな吸湿反応(吸湿率の急上昇)と、高い放湿率を示しており、放湿過程では速やかな放湿反応(吸湿率の急降下)と低い吸湿率を示す物が、良い吸放湿性いわれています。
測定結果を下記のグラフに示すが、稚内層珪藻頁岩は恒温湿度で速やかに吸湿し、かつ高い吸湿率を持ち、低湿度では速やかに、かつ大きく放湿する事がわかります。
弊社では、吸湿率の最大値と最小値の差を吸放湿機能と定義しています。
下記サイクルグラフの1サイクル目(0時間より48時間)では、測定は各サンプルの絶乾状態からの測定となり、普段私達の身の回りには湿度が常に有る事から考えて非現実的であるため、2サイクル目(48時間より96時間)の測定データより求めています。
計算式では、
{ 72時間目の値(最大値) − 96時間目の値(最小値) } = { 吸放湿率 }
この大きさが大きいほど、調湿機能が優れていることを示します。

前グラフと同様に、縦軸に吸湿率、横軸に相対湿度を示し、どの相対湿度で飽和吸着量がどの様に変化をするか測定した物です。その結果、ゼオライトは相対湿度ゼロ付近に於いて、急激に吸湿率が高まっている事がわかります。これは、ゼオライトは湿度を調整する調湿材より吸湿材としての性格が強い事を示しています。
備長炭では相対湿度が30%RH付近で吸湿作用が立ち上がり、60%RH以上の高い相対湿度では逆に吸湿作用が低下しています。よって高湿度での吸湿効果は期待できず調湿材としては不向きということがわかります。

水蒸気吸着等温線
稚内層珪藻頁岩、ゼオライト、備長炭、木粉炭を調湿材として使用する場合、水蒸気吸着等温線により調湿材としての評価を行うことができます。
吸着等温線とは、温度一定で、相対湿度を変化させたときの材料の吸湿率(自重に対する吸湿した水の百分率)を測定した数値です。
この水蒸気吸着等温線が50〜60%RHで急激に立ち上がり、しかも80%RH以上の高湿度側で高い吸湿率を持つことが、調湿材として持たなければならない特徴です。
50%RH〜60%RHで急激に立ち上がるということは、この湿度まではほとんど水蒸気を吸わず、それ以上の湿度になったときに材料が吸湿し始めるため、50%RH〜60%RHの相対湿度にその空間が保たれるということを示しています。
左図は、稚内層珪藻頁岩と珪藻土、ゼオライト、備長炭、木粉炭を比較した水蒸気吸着等温線を示しています。縦軸に吸湿率、横軸に相対湿度を示し、どの相対湿度で飽和吸着量がどの様に変化するか測定しました。図に示す様に稚内層珪藻頁岩は60%RH程度で急激に立ち上がり、高湿度で高い吸湿率を持ち、調湿材としての高い特性を持つことがわかります。
結果、稚内層珪藻頁岩は相対湿度が60%RH以下では低い吸湿率を示し、緩慢な吸湿作用を示すが、60%RH以上になると急激に吸湿率が上昇し高い相対湿度で大きく吸湿作用が機能していることがわかります。
しかし、他の珪藻土は吸湿率の上昇は示していますが、相対湿度の変化に伴う大きな変化はなく、高い相対湿度においては大きな吸湿率を示していません。すなわち、調湿材としては機能していないことがわかります。
稚内層珪藻頁岩の比表面積と細孔容積
稚内層珪藻頁岩の特性は、その材料の持つ比表面積(1gあたりの材料の表面積)と細孔分布(表面にある細孔の半径がどれくらいの容積で分布しているかを示す)にあります。
吸放湿機能は、細孔半径の大きさより水蒸気吸着等温線の立ち上がる相対湿度が決まり、その細孔容積の大きさで高湿度での吸湿率が決まってきます。
下図で比表面積、細孔容積の違いを紹介します。
稚内層珪藻頁岩は比表面積が100m 2/gと珪藻土の約4倍であり、その細孔容積は約5倍もあります。
近年の研究により調湿材として必要な細孔半径は24〜62Aであることが明らかになり(名古屋工業技術研究所発表)、稚内層珪藻頁岩もこの細孔半径の範囲にあり、大きな細孔容積を持つ為、50%RH〜60%RHで大きく立ち上がる水蒸気吸着等温線が得られることがわかりました。

縦軸に細孔容量(単位:cm3/g) 横軸に細孔半径(単位:A<オングストーム>10億分の10cm)細孔半径の大きさによって、細孔の容量の変化を示しています。このグラフをみると、稚内層珪藻頁岩が20Aから80A間の細孔容量が一般珪藻土と比較し非常に多量でることがわかります。
焼成について
各種窯業原料として焼成を行い使用する際は、焼成温度に留意が必要です。燃焼温度と比表面積の関係、焼成温度と吸放湿機能の関係を以下の図にまとめました。
結果、焼成温度は950℃以上で比表面積は大きく低下し、吸放湿性はほとんど失われてしまいます。これは、焼成することで吸放湿する為の細孔を破壊され、珪藻土の特性である吸放湿機能が低下してしまうことが原因です。

アンモニア吸着について
稚内層珪藻頁岩は、多孔質物質であり、PH3.8〜5.2※2程度の弱酸性です。この様な特性から、固定酸点という触媒的な吸着点を細孔内に持つ為、アルカリ物質に対して科学吸着力を持ち、アンモニアガスに代表される塩基性ガスを効果的に吸着し、離しません。※2 土壌測定法による

弊社、スズキ産業資材株式会社、独立行政法人産業技術総合研究所中部センターとの共同研究による測定の結果、頁岩1gあたりが持つアンモニアの吸着量が238.3μmol(238.3マイクロモル)と高い結果をだしました。(※頁岩は天然鉱物の為、結果に多少変化があります。)
この吸着力の持続力は、一般住宅程度のトイレの広さ(床面積0.9m×1.8m 高さ2.4m)で仮定し、ほとんど換気がされず、アンモニアの常時残留臭濃度が2ppm(例えば不衛生な非水洗の公衆トイレ程度の臭気です)の厳しい環境でも、約1000年分持続して吸着することになります。
仮に、u当たり数Kgの稚内層珪藻頁岩を配合した塗り壁材でトイレに施工すると、吸着量は半永久と言っても良い考えられます。
※吸放湿機能の対応年数については、吸放湿作用は物理的吸着のみの作用である為、表面から何らかの膜の様なもの、もしくは固化剤でアクリル系樹脂等で覆われるなど吸放湿機能を妨げなければ調湿効果は半永久的に持続します。




